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理事長挨拶

大鹿哲郎(筑波大)

Tetsuro Oshika (University of Tsukuba)

大鹿哲郎(筑波大)

 過去何回かのブームと衰退を経て、AIはいよいよ本格的な社会実装の時期を迎えています。この変化は第4次産業革命とも呼ばれます。歴史を振り返ると、第1次~第2次産業革命で蒸気機関車や自動車が誕生したことにより、人類は自らの手足を外部化しました。そして今、AIを進化させることにより、脳を外部化させようとしています。AIは、人間の脳よりも圧倒的に大きい記憶容量と処理スピードを持ち合わせます。デジタル化が進むほどアルゴリズムが世界を支配し、データを持つもののみが繁栄するようになるでしょう。データ至上主義は勝者と弱者の格差を広げていくに違いありません。

 医療データをめぐるAI競争は世界的に激化する一方で、欧米や中国での進歩には目を見張るものがあります。一方、日本の現状は、データサイエンティストや研究費の不足などのため、大幅に遅れていると言わざるを得ません。しかし、海外製のAIエンジンをただ受け入れるだけでは、日本の医療の発展は望めず、世界から周回遅れとなってしまうだけでしょう。日本ならではの質の高いビッグデータを収集・整備し、AI研究および社会実装を行っていくことは今後の医療において不可欠です。

 大量のデジタル画像を日々扱う眼科学は、ビッグデータ・AIとの親和性が非常に高い分野です。海外では様々な眼科関連AI機器開発がなされ、産官のバックアップを受けた臨床応用が急速に進んでいます。

 日本眼科AI学会は、本邦の眼科におけるデジタルサイエンスを発展させる目的で設立されました。幸い、日本の眼科には、世界の眼科検査器機マーケットにおいて日本メーカーのシェアが非常に高く、日本仕様の眼科医療機器出力データフォーマットが公的国際標準に採用されているという利点があります。日本眼科AI学会が、眼科におけるビッグデータ、AI、遠隔治療など、デジタルサイエンスに係る臨床家・研究者・実務家達が集う梁山泊のような場になることを願っています。

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